1. ストリングスのコツ

はじめに

オケものをよく打ち込む僕にとっては、やっぱり弦パートは大事なわけで、ちゃんと5パート使って打ち込むのはもちろんの事、弦の人数感もどうにかやって表現したいな~と常日頃思ってました。例えば1stバイオリン14人、2ndバイオリン12人で、1stがE5、2ndがC5を弾く場合のE5の音色と、バイオリンセクション26人が一斉に弾くE5の音色は当然厚みの面で違うはずだろうし、逆に1stバイオリンが2パートにディヴィジした時は(一例として)各音は7人で弾くわけだから、音色も細くなるんじゃないかと。そしてこれを表現するには音量の面と音色の面の両方からアプローチできるんじゃないかと考えました。

注意:以下の内容は88Pro以上を前提とした内容です。何卒ご了承ください。

1-1 音量

音量についてはいたって簡単です。だってエクスプレッションをいじったらいいわけですから。ディヴィジの時に少しエクスプレッションを下げればいいだけの話です。これをベロシティで表現しようとすると、どうしても音色が変化してしまい、例えばffのディヴィジなのになぜか柔らかい音色になってしまうということになりかねません。というわけで、ここはエクスプレッションで調整した方が良さそうです。

1-2 音色

さて、問題は音色面です。まあ、弾く人数が増えようが減ろうがバイオリンの音色にかわりは無いのですが、ここでいう音色とはあくまでも「人数感」のことです。ディヴィジの時の人数感を減らすには… やっぱりコーラスを調整するしかないようです(ぉぃ

もちろんコーラスをかける量によって、音が前に出てきたり後に引っ込んだりしないように、コーラスの音をリバーブに放り込む事を忘れてはいけません。そして、打ち込む曲のディヴィジの分かれ方によって調整します。例えば僕は「革命」を打ち込むとき、コーラスを通常30にし、ディヴィジの時は15にしました。もしかしたらもっと大げさにやってもいいかなと思います。ただし、コーラスというエフェクトは変調感が付いてしまうものでもあります。コーラス自体の設定には気を付けましょう。

1-3 テュッティの時

各パート内の調整は簡単でした。はっきりいってこんな事誰でも思いつくわい! と思った人も多いと思います。どーもすいません(^^ゞ さて、楽譜の中でよく見るのが下図みたいな状態です。

譜例

あ~、たしかにありがちなアレンジですね(笑) 各音を実際に弾く合計人数の差がそこまで出ないアレンジです。ただしこれをDTMで楽譜どおりやろうとすると、必ず次の問題に直面します。それは、「フランジング」です。生演奏の場合は何の問題もありませんが、音源には音色がストリングスとしかありません。とうぜん楽譜どおりやるとシュワシュワいっちゃうわけです。

1-4 フランジングの原因とその対処

フランジングは同一波形が重なる事による効果です。逆に言うと、波形さえ重ならなければ起きないのです。どうやら同じ波形を重ねない、もしくは同じように鳴らさないという事からアプローチしていけば良さそうです。つまり、下記の2点ですね。

波形のタイミングをずらす
よくやる方法としては、各パートのタイミングをずらすということでしょう。30msもずらせば大分軽減されます。でもなんかまだまだって感じです。
波形を変える
そりゃそうですよね。波形が違うからフランジングなんて起きようが無い(笑)。ただ、その音色作りが面倒臭いっちゃ面倒臭い。でも作ってみる事にします。

1-5 音色作り

まず、1stバイオリンから。メロディーを受け持つことも多いこのパート、やっぱり明るい音にしましょう。ここではBright Strにしてみました。このままではゴリゴリいいすぎなので、フィルター、レゾナンス共に下げます(Cut off -7、Resonance -24)。 …なかなかいい感じになりました。次に2ndバイオリン。1stとは別の波形(88Promapのstrings)を選んで、それに似せた感じにします。今回はCut offを+45、Resonanceを+4に設定してみました。ま、こんな感じでしょう。最後はビオラです。いろいろためして55mapのstringsを使うことにしました。Cut offを-11、Resonanceを-4にして、ビオラの割合こもったふくよかな音色を目指してみました。

また、人間の耳は高い音(というより高次倍音が多く含まれた音)ほど良く聞こえてしまうので、この場合どうしてもビオラパートがえらくひっこんで聞こえてしまいます。そこはボリュームで調整しました。

1-6 いざ、テュッティ!

さっきの譜面を鳴らしてみました。おおっ! いい感じです。かなり分厚い音になりました。もちろんシュワシュワいってません。今回の試みは成功と言えそうです。

まとめ

今回の内容は何もストリングスだけに限った事ではなく、他の楽器にも使えます。特にオーケストラものの場合、管楽器系のパートのユニゾンとソロのシミュレートをうまくやらないといけません。そういった時にもこの手法は有効だと思います。